シャープニングの際は主にJETのスロースピードグラインダーを使用しているが、刃物ひとつだけ研ぎたい場合などは普通のグラインダーのほうが便利に感じる。
手持ちは茶谷産業の廉価版で150mm×16mm、100V/150Wのものだが回転数は画像のように約3000rpmでスピードが速すぎる。
そこでネットで見つけた空調ファンのスピードコントローラーを実験してみた。
トライアックタイプだが、進相コンデンサーを接続する端子があり期待したが、スピードは低下するものの安定せず実用には耐えなかった。卓上グラインダーはフリー回転に近く、必要な回転トルクが小さい。空調ファンでは実用になっているので、回転の負荷とパルスによる回転力のバランスが取れにくためか?
テックさんが三相200Vのグラインダーとインバーターで回転制御をされているが、三相のものは大きくて重量も重い。何か方法はないかと考えて思い出したのが20年以上前に購入した車のバッテリーから100Vを発生するインバーター。最近は半導体化されているがこれはレトロなトランスを使用したもので、アナログ回路も単純なので実験には向いている。
100V対センタータップ12Vの大きなトランスがあり、2N3055トリプル・プッシュで矩形波を増幅している、コントロール基板の半固定VRを廻すと2100rpm程度まで回転数が低下した。
基板左端に10KΩの抵抗があり、ここに20KΩをパラに接続して値を小さくすると回転数が増加する。それならこの抵抗を大きくしてやればいいはずと追加してみた結果が左画像、回転数は60%以下になった。この際の周波数は約30Hz、直流入力は13.8V/10Aだった。
矩形波なのでブーンというモーターの唸りがあり、温度上昇も大きいようだが5分程度の短時間なら問題はなさそうだ。費用をかけないという点では大成功。
回路図も確認しない適当な実験で、トライは各自の責任で。また最近の半導体化されたDC/ACインバーターでは改造できるかどうか不明。
インバーターの回路図を追ってみた。
マルチバイブレターで方形波を発生し、電力部はトランスでドライブしている。時定数パーツをいろいろ変更した。
回転数は問題なく、波形も正弦波に近いがPeak to Peak で140V程度しかない。この状態で砥石に木片を当ててみるとかなり強く押し付けなければ回転数は低下しないので、刃物を研ぐ際の軽いタッチならば問題なさそうだ。
インバーターの電源は13.5V30Aの安定化電源だが動作中に電圧を見ると上左のように直流ではない。波形の下縁が0V、インバーターを本来の50Hz付近で動かした場合はこんなことは無いので、たぶん効率が悪く、大電流が流れて安定化電源の保護回路が動作し、その繰り返しでこういう波形になってしまっているのではないかと思う。十分容量の大きな鉛蓄電池ならたぶん大丈夫ではないかと思う。
電圧が低いこともあり10分動作後の温度上昇はたいしたことは無く、またインバーターのトランス、出力トランジスター、DCスイッチング安定化電源とも問題ないようだ。ただしトランス式のDC安定化電源の場合は制御トランジスターがかなり発熱した。下のスイッチング方式のインバーターは時定数を大きく変更できず45Hz程度までしか低下しなかった。